飛魚とそうめん南瓜の清汁仕立て

飛魚の旬は初夏から初秋にかけて、一方でそうめん南瓜は少し遅れた7月頃から出回り始めます。 飛魚は羽のように大きな胸ビレを持ち、その名の通り”飛ぶ”ように泳ぐユニークな魚です。味がしっかりしていて、その出汁は”アゴ出汁”として知られています。 一方でそうめん南瓜というのは別名金糸南瓜とも呼ばれ、湯がくと果肉がそうめん状にほぐれるこちらもまたユニークな食材です。 今回は飛魚のお出汁を活かして、清汁に仕立てます。 <使用食材> 飛魚 そうめん南瓜 すだち 昆布 塩 薄口醤油 <下準備> ・そうめん南瓜は輪切りにして、種とワタを取る。15分~湯がいて、茹で上がったら、冷水にさらして果肉をほぐす。 ・鍋に水を注ぎ、昆布を入れておく。 ・飛魚は三枚にさばく。アラは流水にさらし血抜きする。 <本調理> 1.水と昆布の入った鍋に、綺麗にした飛魚のアラを加えて火にかける。適宜アクを取り、出汁が濁らないように火加減に気をつけてクツクツと煮出していく。 2.飛魚の身は切り身にして、皮目に切り目を入れてからバーナーで炙り、塩と薄口醤油で調味して煮立たせた出汁に入れて火を通す。 3.お椀に切り身を入れ、出汁を注ぐ。飛魚の上にそうめん南瓜を盛り、すだちを1/4欠片添えれば出来上がり。 <一言メモ> ・切り身しか手に入らなければ、顆粒のアゴだしで代用。 ・飛魚の出汁の濃さとすだちの酸味がとても相性が良い。 ・そうめん南瓜は南瓜というより、瓜の特性が強い。さっぱり。

炙り塩鯖と大根の清汁仕立て

鯖の旬は10月頃から12月頃にかけて。特に京都の塩鯖は昔から美味しいと言われており、今でも京都の人々の生活に親しんだ食材のひとつです。鯖寿司の専門店が多く居を構えていたり、生鮮食品店でも様々な業者の塩鯖(“きずし(〆鯖)”ではなく!)が置かれていたりします。 京都で暮らす上で、鯖は切っても切り離せない食材のひとつ。ちなみに京都での塩鯖の相場はだいたい一尾1000円ちょっと。それ以下の安価なものも見かけますが、あまり美味しいとは言い辛いものが多くあります。 塩鯖は部位ごとに、造り、きずし、塩焼きなど、多様な料理に使うことができます。今回は鯖と相性の良い、同じく冬の味覚の大根を使って清汁に仕立てます。 <使用食材> 鯖(塩鯖)骨つき 大根 昆布 清酒 薄口醤油 山椒 <下準備> ・生の鯖を使う場合は、前日に背から開いて塩をし、冷蔵庫で寝かしておく。 ・塩鯖を三枚におろし、アラの部分は出汁をとる用にバラす。鯖の身は浮身用の2切れほどだけ切り出し、残りは他の料理用に保存。 ・大根は皮をむいて、厚め(5mm~1cm程)のいちょう切りにする。 <本調理> 1.鍋にたっぷりの水を入れ、昆布と大根、鯖のアラ、清酒をくわえて日にかける。丁寧にアクを取る。 2.大根が柔らかくなくなるまで煮込んだら、薄口醤油で調味する。 3.浮身用の鯖の切り身は酒蒸ししたのち、水気を拭いて皮目をバーナーで炙り焼目をつける。 4.お椀に盛り付け、山椒を挽きかけたら完成。好みで白髪ねぎをのせるのも良い。 <一言メモ> ・塩鯖に十分な塩分があるので、味付けは薄口醤油のみで十分。 ・浮身用の鯖は直接焼いてもいいが、脂がきつい可能性がある。 ・鯖の脂肪で大根が柔らかくなり、大根のジアスターゼで鯖の臭みがとれる。

鱸と茸の清汁仕立て

鱸は鰤同様の出世魚として知られています。ヒカリゴ、コッパ、セイゴ、フッコ、ハネと成長し、4年以上で60cm以上のものを鱸(スズキ)と呼びます。鱸は年中通して水揚げがありますが、旬は初夏から晩夏にかけてになります。 今回は晩夏の鱸に、秋の先駆けのしいたけとまいたけを合わせて清汁仕立てに。 <使用食材> 鱸(スズキ) しいたけ まいたけ 実山椒 昆布 塩 薄口醤油 <下準備> ・鱸は三枚におろし、切り身にする。使用するのは切り身一つとアラだけなので、他の切り身は別の料理に。アラは流水にさらし、しっかり血を抜いておく。 ・沸騰したお湯をアラにかけて霜降りをし、汚れと臭みを除く。 ・鍋に水を入れ昆布をつけて、水出しの昆布出汁を準備しておく。 ・しいたけはスライスにし、まいたけは適当な大きさにちぎっておく。 <本調理> 1.水出しした昆布出汁を昆布を入れたまま火にかける。沸騰したら昆布を取り出し、鱸のアラを中火~弱火で加え煮出す。アクが出てきたら適宜丁寧に取る。 2.鱸の切り身の皮面に切り目をつけてから、塩を振ってバーナーで軽く炙る。蒸し器に少量の出汁と酒とともに入れて蒸し上げる。 3.鍋に濾した出汁を注ぎ、しいたけとまいたけを加えて火が通るまで弱火~中火にかける。 4.火を止める前に実山椒を加えて、短時間煮たら塩と薄口醤油で調味して火から下ろす。 5.お椀に鱸、まいたけ、しいたけを盛りつけ、出汁を注ぐ。最後に実山椒を飾り付けたら出来上がり。 <一言メモ> ・出汁を濁らせないように、対流を起こさない程度の火加減を心がける。 ・鱸は身が崩れないように気をつける。

牡蠣のみぞれ汁

牡蠣の旬は夏と冬の年に2回。これは牡蠣が真牡蠣と岩牡蠣という2種類いるからでして、いわゆる牡蠣の旬であると言われる”Rのつく月”というのは真牡蠣の方の旬です。この時期は産卵を控え牡蠣が栄養を蓄えるので、非常にふっくらとして美味しい季節なのです。 今回は、そんな牡蠣と相性の良い大根と防風を使ってみぞれ汁に仕立てました。 真牡蠣 大根 防風 昆布 塩 薄口醤油 <下処理> ・牡蠣は片栗粉で下処理しておく。(詳しくはこちら牡蠣の下処理) ・ボウルに水をため、昆布を浸して昆布出汁を準備しておく。 <本調理> 1.昆布出汁を火にかけ、塩と薄口醤油で味をつける。 2.大根はおろし金で好みの粗さにおろし、出汁に加えて弱火で半透明になるまで火を通していく。 3.鍋にお湯を沸かし、沸騰したら牡蠣を一つずつ加え縮む直前であげる。 4.お椀に牡蠣を盛って、その上から大根おろし入りの出汁を注ぎ、さらに防風を飾りつければ完成。 <一言メモ> 牡蠣は火を通しすぎないように気をつける。茹でた後は長時間放置しているとエキスが外に出てしまうので注意。 好みでお酢か柑橘類の絞り汁を加えるのも良い。