真羽太と蕪のすり流し

真羽太(マハタ)の旬は春から夏にかけてです。垢穢(クエ)と並ぶ高級魚として知られています。非常に上品な旨味と甘味のある美味な白身の魚です。身はもちろんの事、アラからは絶品の出汁、皮目にはゼラチン質、内臓すらも美味しく捨てるところのないと言われる魚です。 今回は、蕪をすり流しにして出汁を存分に味わえるように仕立てます。 <使用食材> マハタ 蕪 白ねぎ 昆布 薄口醤油 <下準備> ・マハタは三枚におろして、切り身とアラに分けておく。 ・アラは流水でしっかり洗い、血合いを除く。 ・鍋に水を注ぎ昆布を浸しておく。 ・蕪は皮をむいて小さめの乱切りにしておく。 <本調理> 1.昆布を入れた鍋にマハタのアラを加えコトコトと出汁を煮出す。アクをとりつつ、火加減を調整して出汁を濁らせないようにする。 2.出汁を濾して再び鍋に戻し、煮たたせた上でマハタの切り身を入れて火を通す。火が通ったら、一旦取り出しておく。 3.出汁を適量取り置いて、残りの出汁で蕪を柔らかくなるまで煮込む。水分を少し残す程度に煮詰めたら火からおろして粗熱を取る。 4.粗熱をとった蕪をミキサーにかけてピュレ状にする。先ほど取り置いておいた出汁で適度な濃度になるようピュレを伸ばし、塩で調味する。 5.お椀にマハタを入れ、蕪のすり流しを注いだら白ねぎを乗せ、薄口醤油を数滴たらせば完成。 <一言メモ> ・白ねぎはなくても良いかもしれない…。 ・マハタの出汁を殺さないよう注意。調味料は控えめに。 ・蕪もしっかりと出汁が出るのでうまいこと調和させる必要有り。

飛魚とそうめん南瓜の清汁仕立て

飛魚の旬は初夏から初秋にかけて、一方でそうめん南瓜は少し遅れた7月頃から出回り始めます。 飛魚は羽のように大きな胸ビレを持ち、その名の通り”飛ぶ”ように泳ぐユニークな魚です。味がしっかりしていて、その出汁は”アゴ出汁”として知られています。 一方でそうめん南瓜というのは別名金糸南瓜とも呼ばれ、湯がくと果肉がそうめん状にほぐれるこちらもまたユニークな食材です。 今回は飛魚のお出汁を活かして、清汁に仕立てます。 <使用食材> 飛魚 そうめん南瓜 すだち 昆布 塩 薄口醤油 <下準備> ・そうめん南瓜は輪切りにして、種とワタを取る。15分~湯がいて、茹で上がったら、冷水にさらして果肉をほぐす。 ・鍋に水を注ぎ、昆布を入れておく。 ・飛魚は三枚にさばく。アラは流水にさらし血抜きする。 <本調理> 1.水と昆布の入った鍋に、綺麗にした飛魚のアラを加えて火にかける。適宜アクを取り、出汁が濁らないように火加減に気をつけてクツクツと煮出していく。 2.飛魚の身は切り身にして、皮目に切り目を入れてからバーナーで炙り、塩と薄口醤油で調味して煮立たせた出汁に入れて火を通す。 3.お椀に切り身を入れ、出汁を注ぐ。飛魚の上にそうめん南瓜を盛り、すだちを1/4欠片添えれば出来上がり。 <一言メモ> ・切り身しか手に入らなければ、顆粒のアゴだしで代用。 ・飛魚の出汁の濃さとすだちの酸味がとても相性が良い。 ・そうめん南瓜は南瓜というより、瓜の特性が強い。さっぱり。

渡蟹と冬瓜のお味噌汁

渡蟹の旬は雌雄で異なります。今回使うのは7月頃から秋にかけてが旬な雄の渡蟹。雄の渡蟹は味噌や卵はありませんが、雌に比べて身がしまり、かつ甘みが強いのが特徴です。 甲殻類特有の濃い出汁が根菜類と相性が良いので、今回は同じく旬の冬瓜と合わせてしっかりと旨味を吸わせます。 <使用食材> 渡蟹(雄) 冬瓜 昆布 赤味噌 白味噌 <下準備> ・渡蟹はふんどしを剥がしてから甲羅を外し半分に割る。この時、”砂袋”と”がに”をきちんと外しておく。 ・昆布は水につけ昆布出汁を水出ししておく。 ・冬瓜は種を除き、皮を剥いたのちに一口大に切り、串が通るまで茹でておく。 <本調理> 1.蟹は脚を胴体から外し、胴体も幾つかにばらして、昆布出汁を加え鍋でことことと煮込む。昆布はいれたままで良い。 3.蟹からでるアクを丁寧に取り除いたら、別鍋に冬瓜とこの出汁を注ぎ水分がなくなるまで炊き上げる。 2.赤味噌に少量の白味噌を加え、出汁を少量ずつ入れながらすり鉢でしっかりと擂る。 3.十分に擂った味噌を味噌漉しで漉し、1の出汁を味噌汁に仕立てる。 4.お椀に冬瓜と蟹の脚、および蟹の身をほぐしたものを盛って、味噌汁を注げば完成。 <一言メモ> ・蟹の甘みを引き立てるため、赤味噌に少量の白味噌を加えて調味する。 ・必ず味噌は擂って、濾す。美味しい味噌汁を作るには、これ必須。

枝豆のすり流し

枝豆の旬は夏。冷凍食品などのお陰で、家庭でも居酒屋などでも一年中食べることのできる食材という印象ですが、実際の旬は夏になります。夏になれば、青果食品店の店頭には、一般的な枝豆から茶豆まで産地も様々に多様な品種の枝豆が並びます。いろいろ買って塩茹でして味比べをするのも一興。 しかし、枝豆の美味しい食べ方は塩茹でだけではありません。 今回は地元京都のブランド産品”紫ずきん”を、その特徴であるしっかりとした甘みと、枝豆特有の清涼感のある色合いを前面に出した”すり流し”に仕立てます。 <使用食材> 枝豆 一番出汁(昆布だし) 塩 <下準備> ・枝豆は水で洗ってから塩揉みし、両端をはさみで切ってから沸騰したお湯で茹でる。茹で上がった枝豆は流水にさらして冷やし、豆を取り出して薄皮まで剥いておく。 ・一番出汁の取り方を参考に、鰹節を控えめにして一番出汁を取り、十分に冷ましておく。 <本調理> ・枝豆を飾り用の数個を取り分け、残りをすり鉢あるいはミキサーを使って、一番出汁を徐々に加えながらピュレ状にする。 ・ピュレ状になった枝豆を出汁で好みの濃度までのばし、塩少々(このみで薄口醤油をいれても良い)で調味する。 ・器に注ぎ、最後に飾り用に取り置いていた枝豆を散らせば出来上がり。 <一言メモ> ・豆の味がしっかりしているので、一番出汁の鰹は控えめに。 ・一番出汁の代わりに昆布出汁であっさり仕上げても良い。 ・出汁でピュレを伸ばす際にもミキサーを使うとふんわりとした口当たりに仕上がる。

とうもろこしのすり流し

とうもろこしの旬は6月~9月。 今回は夏の暑いさなかにも食べられる冷たいすり流しに仕上げます。 とうもろこしの優しい甘さが、口に広がる一品。素材そのままを味わうすり流し本来の良さが引き立ちます。 <使用食材> とうもろこし(生,芯付き) 塩 薄口醤油 <下準備> ・とうもろこしは芯に沿って実を板状に削ぎ切る。実の一粒一粒がばらけないように気をつける。 ・芯を縦に四つ割、横には三つ割ほどに切り分ける。鍋に水を入れとうもろこしの芯を加えて、コトコトと煮込んで出汁をとる。冷やしておく。 <本調理> 1.鍋にとうもろこしの実を加えて、ひたひたになる程度に水を注ぎ中火にかける。 2.とうもろこしに火が通って十分に甘みが出たら、火からおろして粗熱を取る。一枚(一塊?)は飾り用に取り置いておく。 3.すり鉢あるいはミキサーにかけてピュレ状にしてから裏ごしする。 4.裏ごししたとうもろこしを、下準備の段階でとうもろこしの芯から取っておいた出汁を使って好みの濃度になるまでのばす。 5.塩少々と薄口醤油少々加えて調味すれば出来上がり。飾り用のとうもろこしを最後に乗せる。 <一言メモ> ・とうもろこしの芯は甘みのある出汁が取れる。 ・できる限り、他の食材を入れず純度高く作ると良い。 ・ミキサーにかけるのは粗熱をしっかりと取ってから。

冬瓜とスペアリブのイタリアンスープ

冬瓜の旬は初夏から初冬あたり。名前の由来は夏に収穫したものが冬まで貯蔵できるということからきています。 冬瓜はスープの味がよく染む食材の一つ。今回は旬の冬瓜をスペアリブとともにとろけるほどに煮込んだ一品です。 冬瓜 スペアリブ 玉ねぎ トマト にんにく セージ パセリ <下準備> ・スペアリブは前日に塩を振って冷蔵庫で寝かしておく。 ・冬瓜は種を取り除き厚めに皮を剥いて一口大に切り、鍋に水を入れて串が通るくらいまで茹でておく。 ・にんにくと玉ねぎは薄切りに、トマトはざく切りにしておく。 <本調理> 1.フライパンにオリーブオイルを敷いて、にんにくと玉ねぎを甘みが出るまで炒める。炒めたら一度フライパンから取り出しておく。 2.スペアリブをフライパンに入れて表面に軽く焼き色がつくまで炒めたら、白ワインを注ぐ。強火にしてアルコールを飛ばす。 3.煮込み用の鍋にオリーブオイルを注ぎ、冬瓜とトマトを加えて軽く炒める。1.2.の具材をすべて鍋に移して水をひたひたに注ぎ、セージとともに煮込む。 4.十分に煮込んだらセージを取り出し、塩で調味する。器に盛ってパセリを散らして出来上がり。 <一言メモ> ・にんにくは存在感を主張する程度には多めに入れて、切り方もみじん切りではなく食感が残るくらいに大きくすると良い。 ・スペアリブは箸で切れるくらいに柔らかく煮込むと良い。