蛍烏賊と掬い卵の清汁仕立て 梅と行者ニンニク

蛍烏賊といえば富山県の春の名物。2月頃から出回り始めて、5月頃まで見かけますかね。茹でたものを辛子酢味噌で食べるのが定番ですが、食べ方は多種多様。富山名物の沖漬けを始め、天ぷらに和え物に炒め物、そして本当に新鮮なものでなければできない刺身は絶品です。 一方、行者ニンニクはアイヌネギとも呼ばれる北海道特産の山菜です。最近は栽培されることも増えてきたらしく、1月頃から市場に出回り始めます。 今回は掬い卵とともに清汁に仕立てます。 <使用食材> 蛍烏賊 行者ニンニク 卵 一番出汁 梅干し <下準備> ・掬い卵を作っておきます。 ・卵と卵の1~2倍量の一番出汁を合わせ、裏ごししたものを器に入れて蒸し器で蒸す。器の下には手ぬぐいなどを敷き、弱火で蒸す。 ・梅干しは種を取り除き、包丁でたたいておく。種は後で使うので取り置いておく。 <本調理> 1.一番出汁を鍋に注ぎ、梅干しの種を加えて弱火で20分ほどコトコトと煮出す。 2.梅の風味が出汁に移れば、梅干しの種を取り出し、薄口醤油で味を整える。 3.別の鍋に一番出汁、酒、薄口しょうゆ、みりんを合わせたものを煮立たせ、そこに蛍烏賊をさっと通してふっくらとさせる。その後取り出しておく。 4.行者ニンニクを出汁に入れて火を通す。 5.<下準備>で蒸しておいた卵をスプーンで掬い、お椀に盛り付け汁を注ぐ。 6.蛍烏賊と行者ニンニクを盛り付け、最後に叩いた梅肉を添えれば完成。 <一言メモ> ・梅干しの種を煮出す際は出汁が濁らないように必ず弱火で。必要なら煮出した後に濾し器を使って汁を濾す。 ・蛍烏賊は温める程度にして、長時間煮ることはしない。 ・調理はそれぞれに分けて行わないと汁が濁る可能性があるので注意。

ホワイトアスパラガスのドイツ風クリームスープ(Spagrgelsuppe)

ホワイトアスパラガスの旬は4月頃から6月頃までの春の期間です。日本ではまだまだ馴染みのない食材ではありますが、瓶詰めのホワイトアスパラガスも売られており一年を通して手に入れることができます。もちろん生のものと瓶詰めでは味が全然違いますが…。 ドイツではホワイトアスパラガスは”シュパーゲル(weiss)”と呼ばれ、春の代表的な食材として愛されています。シュパーゲルは4月中旬のイースター明けから6月24日までの期間に売り出されます。 今回はドイツの春の定番ホワイトアスパラガスをズッペ(スープ)に仕立てます。 <使用食材> ホワイトアスパラガス(瓶詰め) ブイヨン 生クリーム 白ワイン 小麦粉 <下準備> ・ホワイトアスパラは頭の部分と下の部分とを切り分ける。 ・頭の部分の数本分は浮き実用に、その他の部分はざく切りにしておく。 <本調理> 1.ホワイトアスパラは浮き実用の部分以外をブイヨンで柔らかくなるまで茹でる。ミキサーが回せるギリギリ量まで水分を飛ばし、粗熱を取る。 2.ミキサーにかけてピュレ状にする。 3.鍋にバターを溶かし、小麦粉を加えて軽く炒める。生クリームで伸ばして、さらに白ワインを加えてアルコールを飛ばす。 4.先ほど作ったピュレを徐々にくわえて伸ばしていき、満遍なくなじませたら完成。 5.器に盛り付け、浮き実用のアスパラの頭を浮かべる。好みで生クリームを注いでも良い。 <一言メモ> ・生クリームは牛乳を使うホワイトソースよりダマができにくい。 ・ドイツの定番のシュパーゲルズッペ。美味しい。 もっと詳しい作り方はこちらのページを参照のこと >>春の訪れを祝う。”ホワイトアスパラガスのクリームスープ(Spargelsuppe)”。。

真羽太と蕪のすり流し

真羽太(マハタ)の旬は春から夏にかけてです。垢穢(クエ)と並ぶ高級魚として知られています。非常に上品な旨味と甘味のある美味な白身の魚です。身はもちろんの事、アラからは絶品の出汁、皮目にはゼラチン質、内臓すらも美味しく捨てるところのないと言われる魚です。 今回は、蕪をすり流しにして出汁を存分に味わえるように仕立てます。 <使用食材> マハタ 蕪 白ねぎ 昆布 薄口醤油 <下準備> ・マハタは三枚におろして、切り身とアラに分けておく。 ・アラは流水でしっかり洗い、血合いを除く。 ・鍋に水を注ぎ昆布を浸しておく。 ・蕪は皮をむいて小さめの乱切りにしておく。 <本調理> 1.昆布を入れた鍋にマハタのアラを加えコトコトと出汁を煮出す。アクをとりつつ、火加減を調整して出汁を濁らせないようにする。 2.出汁を濾して再び鍋に戻し、煮たたせた上でマハタの切り身を入れて火を通す。火が通ったら、一旦取り出しておく。 3.出汁を適量取り置いて、残りの出汁で蕪を柔らかくなるまで煮込む。水分を少し残す程度に煮詰めたら火からおろして粗熱を取る。 4.粗熱をとった蕪をミキサーにかけてピュレ状にする。先ほど取り置いておいた出汁で適度な濃度になるようピュレを伸ばし、塩で調味する。 5.お椀にマハタを入れ、蕪のすり流しを注いだら白ねぎを乗せ、薄口醤油を数滴たらせば完成。 <一言メモ> ・白ねぎはなくても良いかもしれない…。 ・マハタの出汁を殺さないよう注意。調味料は控えめに。 ・蕪もしっかりと出汁が出るのでうまいこと調和させる必要有り。

クレソンのポタージュ

クレソンといえば、フレンチの肉料理の付け合せなどでも目にする食材です。日本でも比較的馴染みがあるようになってきた印象を受けますが、別名オランダガラシとも呼ばれる外来の食材です。 年間を通して見かける食材ですが、旬は春から初夏にかけての数ヶ月。 上記の通り付け合せなどで利用され、あまり料理の主となる食材ではありませんが、貧血の防止や食欲促進、脂肪分解など効能がたっぷり。 今回は、普段脇役に甘んじているクレソンを主役に、さわやかな辛味のポタージュに仕立てます。 <使用食材> クレソン 玉ねぎ(クレソン2把に対し中1/2個程度) 牛乳 生クリーム ブイヨン バター <下準備> ・クレソンはみじん切りに、玉ねぎは薄切りにする。 ・ブイヨンは家庭ではなかなか取れないと思うので、ブイヨンキューブなどで代用。薄め(規定の1.5倍ほどに薄める)にして準備しておく。 <本調理> 1.フライパンにバターをしき、玉ねぎを甘みが出るまで炒める。 2.みじん切りにしたクレソンを加えさっと炒めたら、少量のブイヨンを加え5分ほど煮て火から下ろす。ミキサーにかけるために冷まして粗熱をとる。 3.粗熱の取れたクレソンと玉ねぎをミキサーでピュレ状にし、鍋に移す。 4.牛乳を加え、沸騰しないように弱火で温めながらピュレを伸ばす。 5.塩で調味し、器に盛って生クリームを好みで加えれば完成。 <一言メモ> ・あくまで主役はクレソンなので味と香りを殺さないようにブイヨンは薄めに。 ・煮る際のブイヨン量もあまり多すぎないように注意。 ・クレソンを煮込みすぎるといろが悪くなるので適当な塩梅で。 ・ちなみにクレソンは英語ではなくフランス語。