麻油鶏(マーヨージー)

根生姜の収穫は、9月頃から11月頃までの秋から冬にかけて。生姜は収穫後数ヶ月貯蔵されてから出荷されるもの(一般的ないわゆる生姜)とそのまま出荷されるもの(新生姜)にわかれ、1年を通して手に入る食材です。 生姜には抗炎症作用、血行促進、整腸作用などなど多くの効能があり、風邪の時に”しょうが湯”として飲むなど、体に良い食材として知られています。また血行促進によって体が温められるので、寒い冬にも非常にありがたいものです。 今回はこの生姜を鶏肉とともに台湾の薬膳スープに仕立てます。 <使用食材> 鶏肉 生姜 ごま油 米酒(焼酎) <下準備> ・生姜は皮をむいて少し厚めの薄切りにしておく。 ・鶏肉は一口大に切って軽く塩を振っておく。 <本調理> 1.鍋に多めのごま油を敷き、生姜を炒める。 2.鶏肉を加え、表面にしっかりと焼き色がつくまで炒める。 3.米酒をひたひたに注ぎ、弱火~中火でゆっくりコトコト煮込む。 4.最後にクコの実を4~5粒加え、さらに5分ほど煮込み出来上がり。 <一言メモ> ・米酒というのは台湾の蒸留酒。純米酒の誤記ではない。 ・生姜はたっぷり使って、しっかりカリカリになるくらいまで炒めるのがポイント。 ・水を加えないのも一つのポイントだが、風味が気になるなら水を加えても良い。 ・鶏肉は骨つきのものを使うと出汁が出やすい。 ・塩を入れると苦味が出るらしい。本当なのか?? より詳しくはこちらのページを参照

炙り塩鯖と大根の清汁仕立て

鯖の旬は10月頃から12月頃にかけて。特に京都の塩鯖は昔から美味しいと言われており、今でも京都の人々の生活に親しんだ食材のひとつです。鯖寿司の専門店が多く居を構えていたり、生鮮食品店でも様々な業者の塩鯖(“きずし(〆鯖)”ではなく!)が置かれていたりします。 京都で暮らす上で、鯖は切っても切り離せない食材のひとつ。ちなみに京都での塩鯖の相場はだいたい一尾1000円ちょっと。それ以下の安価なものも見かけますが、あまり美味しいとは言い辛いものが多くあります。 塩鯖は部位ごとに、造り、きずし、塩焼きなど、多様な料理に使うことができます。今回は鯖と相性の良い、同じく冬の味覚の大根を使って清汁に仕立てます。 <使用食材> 鯖(塩鯖)骨つき 大根 昆布 清酒 薄口醤油 山椒 <下準備> ・生の鯖を使う場合は、前日に背から開いて塩をし、冷蔵庫で寝かしておく。 ・塩鯖を三枚におろし、アラの部分は出汁をとる用にバラす。鯖の身は浮身用の2切れほどだけ切り出し、残りは他の料理用に保存。 ・大根は皮をむいて、厚め(5mm~1cm程)のいちょう切りにする。 <本調理> 1.鍋にたっぷりの水を入れ、昆布と大根、鯖のアラ、清酒をくわえて日にかける。丁寧にアクを取る。 2.大根が柔らかくなくなるまで煮込んだら、薄口醤油で調味する。 3.浮身用の鯖の切り身は酒蒸ししたのち、水気を拭いて皮目をバーナーで炙り焼目をつける。 4.お椀に盛り付け、山椒を挽きかけたら完成。好みで白髪ねぎをのせるのも良い。 <一言メモ> ・塩鯖に十分な塩分があるので、味付けは薄口醤油のみで十分。 ・浮身用の鯖は直接焼いてもいいが、脂がきつい可能性がある。 ・鯖の脂肪で大根が柔らかくなり、大根のジアスターゼで鯖の臭みがとれる。

渡蟹と冬瓜のお味噌汁

渡蟹の旬は雌雄で異なります。今回使うのは7月頃から秋にかけてが旬な雄の渡蟹。雄の渡蟹は味噌や卵はありませんが、雌に比べて身がしまり、かつ甘みが強いのが特徴です。 甲殻類特有の濃い出汁が根菜類と相性が良いので、今回は同じく旬の冬瓜と合わせてしっかりと旨味を吸わせます。 <使用食材> 渡蟹(雄) 冬瓜 昆布 赤味噌 白味噌 <下準備> ・渡蟹はふんどしを剥がしてから甲羅を外し半分に割る。この時、”砂袋”と”がに”をきちんと外しておく。 ・昆布は水につけ昆布出汁を水出ししておく。 ・冬瓜は種を除き、皮を剥いたのちに一口大に切り、串が通るまで茹でておく。 <本調理> 1.蟹は脚を胴体から外し、胴体も幾つかにばらして、昆布出汁を加え鍋でことことと煮込む。昆布はいれたままで良い。 3.蟹からでるアクを丁寧に取り除いたら、別鍋に冬瓜とこの出汁を注ぎ水分がなくなるまで炊き上げる。 2.赤味噌に少量の白味噌を加え、出汁を少量ずつ入れながらすり鉢でしっかりと擂る。 3.十分に擂った味噌を味噌漉しで漉し、1の出汁を味噌汁に仕立てる。 4.お椀に冬瓜と蟹の脚、および蟹の身をほぐしたものを盛って、味噌汁を注げば完成。 <一言メモ> ・蟹の甘みを引き立てるため、赤味噌に少量の白味噌を加えて調味する。 ・必ず味噌は擂って、濾す。美味しい味噌汁を作るには、これ必須。

Lohikeitto(ロヒケイット)

最近では養殖産業のおかげで年間を通して手に入る食材となりましたが、その旬は秋です。誰しもが9月頃から生鮮食品売り場に秋鮭が所狭しと並ぶのを見て、秋の訪れを感じた経験があるのではないでしょうか。 サーモンといえば日本でも非常に馴染み深い食材のひとつで、刺身に焼き物に汁物までその用途は多岐に渡ります。一方で、海外(特に北欧)でも非常に好まれる食材で、世界中に数々のサーモン料理が存在します。 今回は、旬の秋鮭を北欧はフィンランドの家庭で愛されるサーモンスープ”Lohikeitto(ロヒケイット)”に仕立てます。 <使用食材> サーモン ジャガイモ 玉ねぎ (人参) ディル(乾燥/生) バター 生クリーム(牛乳) <下準備> ・サーモンは皮付きの場合は皮を剥いで、一口大に切り分ける。軽く塩を振り、ディルをまぶして30分~1時間ほど冷蔵庫で寝かせておく。 ・玉ねぎは一口大に、ジャガイモ(と人参)は皮をむいてサーモンと同じくらいの大きさに切っておく。 <本調理> 1.鍋にたっぷり目にバターを溶かし玉ねぎを炒める。十分に甘みを引き出す。 2.一旦、玉ねぎを取り出し、同じ鍋でサーモンを炒める。完全に火を通す必要はないので、7~8分程度火が通ってバターの風味が移れば、鍋から出して取り置いておく。 3.先ほどの玉ねぎを鍋に戻し、ジャガイモ(と人参)を加えて炒める。 4.ジャガイモの表面が透明になってきたら、ヒタヒタになる程度に水を加えて煮込む。ジャガイモの加減をみつつ(煮崩れしすぎないように)、逐次足し水をして、最終的には半量程度まで水分を飛ばす。 5.ジャガイモが柔らかくなって、水分も十分に飛ばしたら、生クリームをたっぷりと加える。煮立たないように弱火で温める。 6.十分に温まったら、取り置いていたサーモンとディルを加え、弱火のまま5分ほど煮て、塩コショウで調味する。 7.器に盛り付け、最後に再びディルをまぶせば完成。 <一言メモ> ・本場では人参はいれないレシピも多いが、やはりいれたほうが彩りも味も良い。 ・サーモンは煮込みすぎてパサパサにならないように注意。 ・ディルは乾燥でも生でも良い。乾燥の方は手軽。生は香りが強い。一長一短。

鱸と茸の清汁仕立て

鱸は鰤同様の出世魚として知られています。ヒカリゴ、コッパ、セイゴ、フッコ、ハネと成長し、4年以上で60cm以上のものを鱸(スズキ)と呼びます。鱸は年中通して水揚げがありますが、旬は初夏から晩夏にかけてになります。 今回は晩夏の鱸に、秋の先駆けのしいたけとまいたけを合わせて清汁仕立てに。 <使用食材> 鱸(スズキ) しいたけ まいたけ 実山椒 昆布 塩 薄口醤油 <下準備> ・鱸は三枚におろし、切り身にする。使用するのは切り身一つとアラだけなので、他の切り身は別の料理に。アラは流水にさらし、しっかり血を抜いておく。 ・沸騰したお湯をアラにかけて霜降りをし、汚れと臭みを除く。 ・鍋に水を入れ昆布をつけて、水出しの昆布出汁を準備しておく。 ・しいたけはスライスにし、まいたけは適当な大きさにちぎっておく。 <本調理> 1.水出しした昆布出汁を昆布を入れたまま火にかける。沸騰したら昆布を取り出し、鱸のアラを中火~弱火で加え煮出す。アクが出てきたら適宜丁寧に取る。 2.鱸の切り身の皮面に切り目をつけてから、塩を振ってバーナーで軽く炙る。蒸し器に少量の出汁と酒とともに入れて蒸し上げる。 3.鍋に濾した出汁を注ぎ、しいたけとまいたけを加えて火が通るまで弱火~中火にかける。 4.火を止める前に実山椒を加えて、短時間煮たら塩と薄口醤油で調味して火から下ろす。 5.お椀に鱸、まいたけ、しいたけを盛りつけ、出汁を注ぐ。最後に実山椒を飾り付けたら出来上がり。 <一言メモ> ・出汁を濁らせないように、対流を起こさない程度の火加減を心がける。 ・鱸は身が崩れないように気をつける。

冬瓜とスペアリブのイタリアンスープ

冬瓜の旬は初夏から初冬あたり。名前の由来は夏に収穫したものが冬まで貯蔵できるということからきています。 冬瓜はスープの味がよく染む食材の一つ。今回は旬の冬瓜をスペアリブとともにとろけるほどに煮込んだ一品です。 冬瓜 スペアリブ 玉ねぎ トマト にんにく セージ パセリ <下準備> ・スペアリブは前日に塩を振って冷蔵庫で寝かしておく。 ・冬瓜は種を取り除き厚めに皮を剥いて一口大に切り、鍋に水を入れて串が通るくらいまで茹でておく。 ・にんにくと玉ねぎは薄切りに、トマトはざく切りにしておく。 <本調理> 1.フライパンにオリーブオイルを敷いて、にんにくと玉ねぎを甘みが出るまで炒める。炒めたら一度フライパンから取り出しておく。 2.スペアリブをフライパンに入れて表面に軽く焼き色がつくまで炒めたら、白ワインを注ぐ。強火にしてアルコールを飛ばす。 3.煮込み用の鍋にオリーブオイルを注ぎ、冬瓜とトマトを加えて軽く炒める。1.2.の具材をすべて鍋に移して水をひたひたに注ぎ、セージとともに煮込む。 4.十分に煮込んだらセージを取り出し、塩で調味する。器に盛ってパセリを散らして出来上がり。 <一言メモ> ・にんにくは存在感を主張する程度には多めに入れて、切り方もみじん切りではなく食感が残るくらいに大きくすると良い。 ・スペアリブは箸で切れるくらいに柔らかく煮込むと良い。